【2026年版 クマ対策】農作物被害の実態とは?農家が知るべき被害事例と対策を解説

人身被害だけではない?農作物の被害は昔から・・・
近年、全国各地でクマによる人身被害が大きく報道されています。
市街地への出没や住宅地での目撃情報などがニュースで取り上げられる機会も増え、「クマ=危険な動物」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、クマによる被害は人身事故だけではありません。
実は農業分野では、昔からクマをはじめとした野生動物による被害が発生しており、多くの農家が長年悩まされてきました。
クマはもともと日本に生息する野生動物です。
人間よりも先にこの土地で暮らしており、シカやイノシシ、サルなどと同様に人と共生してきた歴史があります。
では、なぜ現在になってクマによる農業被害が問題となっているのでしょうか。
また、実際にどのような被害が発生しているのでしょうか。
今回は農林水産省や環境省のデータに加え、東京都内の農家へのヒアリング内容も交えながら解説します。
クマによる農業被害の実態|農林水産省のデータから見る現状

農林水産省によると、令和5年度(2023年度)の野生鳥獣による農作物被害額は約164億円となっています。
被害額の多い動物としては、
- シカ
- イノシシ
- サル
- 鳥類
などが挙げられます。
その中でクマによる農作物被害額は約7億円とされており、前年から大幅に増加しています。
金額だけを見るとシカやイノシシほどではありませんが、クマは大型動物であり、一度侵入すると短時間で広範囲の被害を与える特徴があります。
また、農作物を食べるだけではなく、
- 果樹を折る
- 枝を破壊する
- 農地を荒らす
- 養蜂施設を壊す
といった被害も発生します。
数字には表れない損失も少なくありません。
クマはどんな農作物に被害を与えるのか

クマは雑食性です。
そのため農地に侵入すると様々な農作物が被害を受けます。
特に被害が多いとされるのは、
- トウモロコシ
- 水稲
- リンゴ
- ブドウ
- ナシ
- 柿
- 栗
などです。
果樹園では収穫直前の果実が狙われることも多く、生産者にとっては大きな損失となります。
また、クマは食べる量以上に作物を踏み荒らすこともあり、一度侵入されると被害が拡大しやすい傾向があります。
なぜクマによる農業被害は増えているのか
山のエサ不足
クマは本来、人里ではなく森林で生活しています。
しかし近年はドングリやブナの実などの凶作が発生する年もあり、山で十分な食料を確保できなくなるケースがあります。
その結果、人里や農地へ降りてくるクマが増加すると考えられています。
耕作放棄地の増加
農業従事者の高齢化や人口減少により、全国的に耕作放棄地が増えています。
管理されなくなった農地や藪はクマが身を隠しやすく、人里へ近づくルートにもなります。
人間活動エリアとの接近
山林開発や森林環境の変化によって、人とクマの生活圏が近づいていることも一因とされています。
東京都の農家に聞いた|実際に起きている野生動物被害の現場の声
編集部では東京都内の農業従事者へのヒアリングを実施しました。
東京都というと都市部のイメージが強いかもしれませんが、西部地域には豊かな自然が残っており、近年はクマの目撃情報も確認されています。
実際に東京都八王子市周辺の農家の方によると、
「今年も八王子市内でクマの目撃情報があった。」
とのことでした。
ただし、農業現場で問題となっているのはクマだけではありません。
シカやイノシシ、ハクビシンなど様々な野生動物による農作物被害が日常的に発生しているといいます。
農家の方からは次のような声も聞かれました。
「野菜は一度でも動物にかじられると商品として出荷できない。」
「少し食べられただけでも売り物にならないので本当に悔しい。」
一般の消費者から見ると、小さな傷やかじり跡に見えるかもしれません。
しかし農家にとっては、種まきから収穫まで数か月かけて育てた作物です。
動物による被害は単なる金額だけではなく、生産者の努力や時間を奪う問題でもあります。
なぜ農業被害はあまり報道されないのか
クマによる人身被害は大きく報道されます。
一方で農業被害は全国ニュースになる機会が少ないのが現状です。
その理由として、
- 人命被害ほど緊急性が高く見えない
- 地域限定の問題として扱われやすい
- 毎年発生しているためニュース性が低い
といった背景があります。
しかし農家にとっては生活そのものに関わる問題です。
収穫直前の農作物が被害を受ければ、その年の収入に大きく影響する場合もあります。
全国的には人身被害が注目されていますが、現場では昔から農業被害との戦いが続いているのです。
クマによる農業被害への対策とは
現在、国や自治体では様々な対策を進めています。
代表的なものとして、
- 電気柵の設置
- 箱わなの設置
- 捕獲活動の支援
- 緩衝帯の整備
- 集落環境の改善
などがあります。
また近年ではAIカメラやセンサーを活用したクマ対策システムも導入され始めています。
クマを発見してから対応するのではなく、早期に検知し被害を未然に防ぐ取り組みも増えています。
まとめ|クマ問題は人身被害だけではなく農業被害も深刻
クマ問題というと、人身被害や住宅地への出没が注目されがちです。
しかし、農業現場では昔からクマを含む野生動物による被害が発生してきました。
農林水産省のデータでは、クマによる農作物被害額は年間約7億円に達しています。
さらに、その数字には現れない農家の精神的負担や労力の損失も存在します。
今回ヒアリングした東京都の農家の方も、
「一度でもかじられた野菜は商品にならない。」
と話していました。
クマは日本に昔から生息する野生動物です。
だからこそ単純な「駆除か保護か」という議論だけではなく、
人命を守ること、
農業を守ること、
そして野生動物との適切な距離を保つこと、
これらを両立する対策が今後ますます求められていくでしょう。