【2026年版】ヒグマ条例とは?北海道におけるルールや法律、駆除・遭遇時の対応を解説

北海道に「ヒグマ条例」はある?まず知っておきたい法律・条例の全体像
近年、北海道ではヒグマの出没が相次ぎ、人身被害や農業被害が社会問題となっています。そのため、「北海道にはヒグマ条例があるの?」「クマに餌をあげると違法?」「写真撮影で近づいても大丈夫?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、「北海道ヒグマ条例」という単独の条例は存在しません。
実際には、
- 北海道生物多様性条例
- 自然公園法
- 鳥獣保護管理法
- 北海道ヒグマ管理計画
- 市町村ごとの対策計画
など、複数の制度によってヒグマ対策が行われています。
本記事では、それぞれの役割や違い、禁止されている行為、罰則、北海道でヒグマと遭遇した際の対応まで詳しく解説します。
北海道には「ヒグマ条例」はある?
結論として、北海道全体を対象にした「ヒグマ条例」という名称の条例はありません。
しかし、北海道では複数の法律や条例が組み合わさり、ヒグマとの共存や人身事故防止を図っています。
現在の制度を簡単にまとめると次のようになります。

つまり、「条例」だけではなく、法律・管理計画・自治体運用が一体となってヒグマ対策を行っていることが北海道の特徴です。
北海道生物多様性条例では餌付けは禁止
北海道では、生物多様性条例に基づき、ヒグマへの餌付けは禁止されています。
禁止されるのは、
- ヒグマへ直接餌を与える
- ヒグマを誘引する目的で餌を置く
- 餌を放置して集まるようにする
といった行為です。
違反するとどうなる?
北海道条例では、いきなり罰金になるわけではありません。
主に
- 報告徴収
- 立入検査
- 行為中止の勧告
- 原状回復の勧告
- 氏名等の公表
などの措置が行われます。
知床では「近づくこと」も規制される
北海道全域では餌付けが中心ですが、知床国立公園ではさらに厳しいルールがあります。
自然公園法では
- ヒグマへの餌やり
- 著しい接近
- つきまとい
が禁止されています。
さらに知床では、
- 約30m未満まで近づく行為
- 約50m以内で追いかける行為
などが規制対象となっています。
これは、観光客やカメラマンによる過度な接近がヒグマの「人慣れ」を招き、人身事故につながることを防ぐためです。
自然公園法には罰則がある
知床など国立公園内では、職員から中止指示を受けたにもかかわらず従わない場合、
30万円以下の罰金
となる可能性があります。
北海道条例とは異なり、
現場での指示
↓
従わない
↓
罰則
という流れになっています。
ゴミを放置するだけでも違反になる?
結論から言えば、
必ずしも条例違反になるとは限りません。
北海道条例では
「ヒグマに餌を与える目的」
が要件となっています。
しかし実際には、
- 生ゴミ
- 魚の残渣
- 農作物
- 家庭ごみ
などはヒグマを誘引する原因となるため、北海道ヒグマ管理計画では誘引物の除去が重要な対策として位置付けられています。
ヒグマを捕獲・駆除するルール

ヒグマを勝手に駆除することはできません。
捕獲は鳥獣保護管理法によって管理されており、
- 許可捕獲
- 指定管理鳥獣捕獲
- 緊急銃猟
などが制度化されています。
近年は人命への危険が高い場合に備え、緊急銃猟制度も整備されています。
北海道ヒグマ管理計画とは
条例や法律とは別に、北海道では「北海道ヒグマ管理計画」が策定されています。
この計画では
- 人身事故防止
- 農業被害軽減
- 個体数管理
- 出没時の対応
- 有害性評価
- 春期管理捕獲
などが細かく定められています。
つまり、
法律が「何を禁止するか」を定め、管理計画が「どう対応するか」を定めているという違いがあります。
札幌市は条例ではなく「基本計画」で運用
札幌市では独自のヒグマ条例ではなく、
さっぽろヒグマ基本計画
に基づき対応しています。
主な内容は
- 出没情報の公開
- 注意喚起
- ゾーニング管理
- 登山道閉鎖
- 電気柵設置
- 捕獲判断
などです。
都市部でもヒグマが出没する現在では、このような自治体独自の運用が重要になっています。
北海道でヒグマを見つけたらどうする?

ヒグマを発見した場合は、
- 近づかない
- 写真撮影を優先しない
- 餌を与えない
- ゴミを放置しない
- 市町村・警察へ連絡する
ことが重要です。
また知床などでは50m以上距離を確保し、安全を最優先に行動しましょう。
よくある質問(FAQ)
北海道にはヒグマ条例がありますか?
「北海道ヒグマ条例」という名称の条例はありません。北海道生物多様性条例や自然公園法など複数制度によって管理されています。
ヒグマに餌を与えると違法ですか?
北海道ではヒグマへの餌付けは禁止されています。知床などでは自然公園法の対象となる場合もあります。
知床でヒグマを撮影しても大丈夫?
遠くから観察することは問題ありませんが、接近やつきまといは自然公園法の対象となる可能性があります。
ゴミを放置すると条例違反ですか?
目的によって判断されますが、ヒグマを誘引するため、適切な管理が必要です。
まとめ
北海道には「ヒグマ条例」という単独の条例は存在しません。
実際には、
- 北海道生物多様性条例
- 自然公園法
- 鳥獣保護管理法
- 北海道ヒグマ管理計画
- 市町村ごとの対策計画
これらが相互に連携し、ヒグマ対策が実施されています。
特に近年は、知床における観光客の接近規制や、札幌市をはじめとする都市部でのアーバンベア対策など、地域ごとの実情に応じた取り組みが進められています。
登山やキャンプ、観光などで北海道の自然を訪れる際は、ヒグマに近づかない・餌を与えない・誘引物を放置しないという基本ルールを守ることが、人とヒグマの共存につながります。
クマ対策センターの見解
クマ対策センターでは、ヒグマによる人身被害や農業被害を減らすためには、法令や条例を整備するだけではなく、正しい知識の普及・迅速な情報発信・地域全体での予防対策が不可欠であると考えています。
近年は人とヒグマの生活圏が近づき、都市部への出没も増加しています。そのため、自治体・地域住民・事業者・観光施設・専門機関が連携し、出没情報の共有や誘引物の管理、最新の監視技術や忌避対策を組み合わせた総合的な取り組みが今後ますます重要になります。
クマ対策センターでは、今後も全国のクマ出没情報や最新の対策事例、専門家による解説、クマとの遭遇を防ぐための予防策や撃退・忌避方法などを分かりやすく発信し、一人でも多くの方が安全に自然と共生できる社会の実現を目指してまいります。
参考文献・参考資料
環境省「鳥獣保護管理法」
環境省「自然公園法」
環境省「知床国立公園」
環境省 釧路自然環境事務所「知床国立公園 利用ルール」
北海道「北海道生物多様性条例」
北海道「北海道ヒグマ管理計画」
北海道「ヒグマ対策に関する情報」
北海道環境生活部 自然環境局 野生動物対策課
札幌市「ヒグマ対策・アーバンベア対策」
公益財団法人 知床財団「ヒグマとの付き合い方・知床での利用ルール」
※本記事は2026年7月時点で公開されている各公的機関の資料・ガイドラインをもとに作成しています。最新の制度や運用については、各自治体・関係機関の最新情報をご確認ください。